学会長・大会長企画シンポジウム
6月27日(日) 13:00~15:00
シンポジスト
菊池安希子(国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所地域・司法精神医療研究部)
児島達美(KPCL)
遠山宜哉(岩手県立大学講師)
久持修(やまき心理臨床オフィス)
司会
田中ひな子(原宿カウンセリングセンター)
大会テーマの「ブリーフサイコセラピーのこれから」との連動企画となります。
日本ブリーフサイコセラピー学会は、1991年に本学会の前身である「日本ブリーフサイコセラピー研究会」が発足され、今年で30周年を迎えました。
本学会は「クライエントや家族の精神的健康のために、個別の治療的アプローチの枠組みを越えて効率的な援助方法の発展を目指す(学会ホームページより)」ことを重視しています。すなわち、セラピーにおいて得られた結果(それが「短期」「効果的」「効率的」なものであったかどうか)を重視し、どのようなアプローチがその結果に功を奏したのかについて既存の理論的枠組みにとらわれずに検討をしていく文化があり、これは他学会にはない本学会の特徴であると思われます。
とはいえ、理論的枠組を全く持たないかというとそうではなく、本学会を代表するようなアプローチとしては「解決志向ブリーフセラピー」や「システムズアプローチ」などが挙げられるでしょう。最近では「ナラティヴ・アプローチ」や「オープンダイアローグ」なども注目されています。また、「条件反射制御法」や「アドラー派の心理療法」など、これを「ブリーフセラピー」と呼んでよいのかと思われる理論も耳にするようになってきています。こうしたことは当学会が特定の理論に拠って立つことをせずに柔軟に様々な理論を取り入れてきた結果のことであると思われます。しかし、特に最近入会されたばかりの方にとっては、「ブリーフサイコセラピーって何?」というものがわかりにくくなっているのではないかと思います。そこで、この30年かけて学会が培ってきたものを整理して理解する機会を設けたいと考えました。
本シンポジウムでは、当学会の歴代会長4名をシンポジストとし、それぞれの立場でこれまでのブリーフサイコセラピーあるいは日本ブリーフサイコセラピー学会そのものについて振り返っていただきつつ、これからに期待することなどを語り合い、参加者の皆様と「ブリーフサイコセラピーのこれから」についてのイメージを共有したいと思います。