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ブリーフの歩き方
~ビギナーのための超入門実践ガイド~ |
木場律志(神戸松蔭女子学院大学)
山仲彩代(中村メンタルクリニック)
横尾晴香(東京都スクールカウンセラー) |
ブリーフセラピーの世界に足を踏み入れると、マスターセラピストと呼ばれる方々が実に鮮やかなセラピーを実践されているのを目にします(書籍や研修などで)。しかし、自分がそれをやってみようとすると、、、あれ…?あんなふうにはうまくいかないなぁ…。ビギナーのみなさんは今、そんな経験をされているところではないでしょうか。このワークショップの対象はそんなアナタです。(ブリーフに「旅慣れた人」ではなく)
ブリーフの世界には“ジョイニング”や“リソース探し”といった有名な技法があり、それはまるで有名な観光スポットのように魅力的です。自分もそこにたどり着きたい! でも、そのための具体的な「手段」が分からない…。そんな迷える「ビジター」、もといビギナーの方がブリーフの世界を歩きやすくなるような、そんなお手伝いができればと考えています。
さぁ、私たち3人(講師というより「ガイド」?)と一緒に楽しく旅を始めましょう!
※学生応援価格2,021円対象コース
【定員60名】 |
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臨床の腕をあげるには研究をしよう!
~ブリーフサイコセラピー研究入門~ |
花屋道子(東北文教大学)
加来洋一(長崎県長崎こども・女性・障害者支援センター)
田崎みどり(長崎純心大学) |
「発表テーマって、どうやって見つけるの?」「論文化を勧められたけど、何か特別なことが必要なのでは?」とついつい身構えてしまいがちですが、はたして臨床実践と研究とは別物でしょうか?両者でそんなに異なった考え方が必要でしょうか?
研究という形で日々の臨床の成果を他の専門家と共有すること、そしてそれを通じてクライエントとの二者関係に対等性と透明性を保証することは、臨床実践に大きな利益をもたらします。そう、研究は臨床の役に立つのです。
3名の講師が経てきた教育、臨床の場、研究方法はそれぞれ異なりますが、それらの体験や実践をネタに、みなさんの研究の種や可能性を刺激し、広げていけたらと思います。研究指導の経験を思い起こすと、苦しそうに研究をしている人々の顔ばかりが思い浮かんできますが、いやいやどうしてなかなか、研究は苦しいだけのものではありません。どうぞお気軽にご参加ください。
【定員30名】 |
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ナラティヴ・セラピーの会話術 |
国重浩一(ナラティヴ実践協働研究センター) |
ナラティヴ・セラピーは、1992年に『物語としての家族(Narrative Means to Therapeutic Ends)』が翻訳出版され、日本に紹介されてからほぼ30年になります。その間、ナラティヴ・セラピー関係の書籍は、数多く出版されましたが、それが実践に結びついているとは言えないでしょう。それは、マイケル・ホワイトの文章が難解なのと、実際に日本語でどのようにやりとりをするのかを見る機会が少ないからであると考えています。
本ワークショップにおいて、簡単にナラティヴ・セラピーの概要を説明したのち、実際のダイアログを通じて、ナラティヴ・セラピーの会話法について検討していきます。ワークショップでは、ZOOMのブレイクアウトルームで小さなグループに分かれて、参加者同士がディスカッションをする時間をできるだけ十分に取りたいと考えています。
なお、講師を務める国重浩一は、ニュージーランドに在住していますので、本研修は、ニュージーランドから配信する予定です。
【定員60名】 |
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オートポイエーシス
~システムとナラティヴを結ぶコラボレーション入門~ |
田中究(関内カウンセリングオフィス)
安江高子(関内カウンセリングオフィス) |
システムとナラティヴをつなぐミッシング・リンク、オートポイエーシス。オートポイエーシスはもともと、生命を記述するためのアイディアでした。生命を描くのですから、キーワードが「動き」と「閉じ」になるのは不思議なことではありません。その強調点は、静止した図式と関係性を活用する一般システム論とは大きく隔たります。オートポイエーシスはやがて、「他者性」と「コラボレーション」との邂逅を果たします。
WS当日はマトゥラーナ、ルーマンらによる基礎概念をおさえ、ヴィトゲンシュタインらの哲学を補助線に、システムとナラティヴを往還する臨床実践への接続についてお話しします。臨床的な対話がどうも上手くいかないとお感じの方、効果的な支援なんてそう簡単にできるものではないとお考えの方、この機会にコラボレイティヴな実践の「体幹」を強化してみませんか?
【定員30名】 |
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アドラー心理臨床の実践
~臨床技法・理論・思想を連立させながら実践するということ~ |
八巻秀(駒澤大学・SYプラクティス)
深沢孝之(心理臨床オフィス・ルーエ) |
アドラー心理学(個人心理学)をベースにして心理臨床活動を行なっている講師2人によるアドラー心理学の臨床実践のためのワークショップです。
タイトルにあるようにアドラー心理学は、技法・理論・思想がそれぞれ明確に提示されているのが特徴。その心理臨床活動においても、この3つをセラピストの中でバランス良く連立させながら実践していきます。この「技法・理論・思想をバランス良く連立させる」ことが、様々な臨床場面に適用可能であるアドラー心理臨床実践のための大切なポイントかもしれません。
本ワークショップは、アドラー心理学に触れるのは初めてという方であっても、学びになるよう構成していきます。当日は、オンラインではありますが、講義とワークなどを織り交ぜながら、アドラー心理臨床を実践するための技法・理論・思想をバランス良く学んでいただこうと思っています。
【定員30名】 |
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使える!NLP講座 |
辻本聡(国際医療福祉大学成田病院) |
NLPは、ミルトン・エリクソン Erickson, M. サティア Satir, V. パールズ Perls, F. という三人のマスターセラピストのセラピーを、グリンダ― Grinder, J. とバンドラー Bandler, R.がモデリングし、手法の要素を抽出して体系化したことに始まります。その後、様々な形で発展、変化を遂げていますが、臨床に役立つ実践的なスキル、モデルが数多くあります。
本ワークショップでは、NLPの基本的な概念やモデルを説明し、いくつかの技法とツールを紹介します。有効なセラピーのために、援助者が「使える」と思える技法やツールを、クライエントにも「これは使える」と思ってもらえるようなNLPの実践を目指した内容となります。職域は問わず、面接や援助場面での引き出しを増やしたいと思われる方にもおすすめです。
NLPの土台は「モデリング」にあり、本来は講師も含めた参加者同士のロールプレイを中心に進めることが望ましいですが、オンラインでも可能な限り効果的な学習となるよう構成します。
【定員30名】
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医療におけるブリーフセラピーの活かし方 |
市橋香代(東京大学医学部付属病院 精神神経科)
久保山武成(ルバート心理カウンセリング) |
重篤な病気にかかった方にどう声をかけたらいいのか?、身体的苦痛に対し何ができるのか?、短い入院期間で何を提供できるのか?他職種とどのように連携すればいいのか?など、医療現場で働くと、日々、対応に困る場面に直面します。
ブリーフセラピーは、多くの技法を有しています。しかし、基本的なスタンスを押さえるだけでもこれらの問題へのアプローチはずいぶんシンプルに考えられるようになります。精神疾患のみならず、がんをはじめとしたさまざまな慢性進行性の疾患、妊娠や出産、外傷などに関連したケアにおいて、多くの視点を提供してくれます。また、多職種が協働する中で、背景や流れを意識しつつ自分の役割を果たすことにも役立ちます。当日は、グループワークやロールプレイを通して医療におけるブリーフセラピーの活かし方について考えたいと思います。
医療現場で日々の対応に追われている方、実際の動きについて学びたいと考えておられる周辺領域の方のご参加をお待ちしています。 【定員30名】 |
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ブリーフで行く学校現場@システム論 |
赤津玲子(龍谷大学文学部) |
このWSでお伝えしたいのは、学校現場で使えるシステム論とブリーフの解決志向な考え方です。応用として事例なども紹介しますので、皆さまの体験と具体的に重ね合わせていただけたらお役に立てると思います。また、一方的に理屈をお伝えするのではなく、グループごとの話し合いなどを入れ、内容を共有しながら、現場で使えるような何かを手に入れていただき、明日からの臨床に役立てていただけたら嬉しいです。
学校現場に入って日が浅い方、長く試行錯誤を重ねておられる方、はたまたzoom初心者の方?などなど、様々な方の参加を歓迎いたします。今回は僭越ながら講師という立場ですが、わたしも共に学ばせていただき、一緒に楽しいWSを作っていきましょう。よろしくお願いします。
【定員30名】
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ブリーフな産業メンタルヘルス実践(基本編)
~産業・労働分野におけるブリーフセラピー~ |
松浦真澄(東京理科大学)
宮尾亮子(株式会社 保健同人社) |
このワークショップでは、産業メンタルヘルスにおけるブリーフな実践や観点について扱います。
あまり知られていませんが実は、ブリーフと産業メンタルヘルスはとっても好相性なんです。しかしながら、この領域でブリーフはまだまだ普及の途上にありますし、そもそも「産業メンタルヘルスに関わってみよう」という専門職が少ないのが実情です。
これは勿体ない!ということで、日ごろから「この分野に,もっとブリーフの仲間が欲しい」と切望している2名の講師が、産業メンタルヘルスの基礎からブリーフの活かされ方まで、ワークや事例検討を交えてご紹介します。
専門職に求められる役割が多様であることも、この分野の特徴です。他領域を専門とする方にも、臨床のヒントを得られる場となるはずです。もちろん学生さんも大歓迎!未経験の方にとっては新たな学びの、中堅・ベテランの方々には日ごろの実践を振り返り、共有できる機会をつくりましょう。 【定員30名】
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「ソーシャルワーク入門×ブリーフサイコセラピー」 |
芦沢茂喜(山梨県峡東保健福祉事務所)
山岸倫子(社会福祉法人新栄会)
長沼葉月(東京都立大学人文社会学部人間社会学科) |
それぞれ異なる現場で働く2人のソーシャルワーカー芦沢茂喜と山岸倫子。ソーシャルワーカーとしてどのようにクライエントと関わりを築いていけばよいのかについて、二人は共著「ソーシャルワーカーになりたい」(生活書院刊)に自らの体験を素材としてまとめている。ブリーフセラピーの手法をソーシャルワーク領域での応用につなげる工夫を重ねた長沼がコーディネーターとなって、 二人を主講師としてソーシャルワーカーがクライエントとどのように向き合うことができるのかを振り返る時間を持ちたい。
心理療法的な関わりではない対人援助の現場でのやり取りの中に、ブリーフサイコセラピーのエッセンスをどう見つけることができるのか、生かすことができるのか、ブレイクアウトセッションのグループワークを活用しながら検討していく予定である。 【定員30名】 |
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司法犯罪分野:介入の入り口にたどり着くためのワークショップ |
菊池安希子(国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所)
大山みち子(武蔵野大学・広尾心理臨床相談室)
長谷川直実(医療法人社団ほっとステーション大通公園メンタルクリニック) |
企画趣旨:司法犯罪領域でも、いわゆるナントカ療法にたどり着くまでのところが、実はその後の経過を左右します。始めよければ終わり良しとは言い切れないけれど、始め悪けりゃ始まりません。司法犯罪領域のブリーフサイコセラピーのベテラン臨床家のお二人に、「始め」部分の勘所をシェアしていただきます。
午前:事例化以前の見立て 講師:大山みち子
いずれ事例化する諸々を抱えた人々は、最初からそれについて話すとは限らず、それどころか自分でも気づいていないことも多々あります。焦点はあくまで「変化」におきつつも、事例化していないケースのどこをどう見立てるのか、ワークを通して体験しましょう。
午後:治療につなげるための逸脱行動の尋ね方 講師:長谷川直実
いろいろやらかして自分も周りも苦しくなるのがいわゆる逸脱行動です。わかっちゃいるけどやめられない、治療をしたいけど続きにくい行動の数々。性的問題行動や盗癖等々の逸脱行動について、どう尋ねることが治療につながるのか、押さえておきたいポイントに焦点をあてます。 【定員30名】 |
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ソリューションからBetter Resultsへ
~スコット・ミラーから学ぶ「効果的なセラピー」から「効果的なセラピスト」へのパラダイム転換~ |
白木孝二(Nagoya Connect&Share)
田中ひな子(原宿カウンセリングセンター) |
スコット・D・ミラー博士は、シカゴのICCE(International Center for Clinical Excellence)の創設者で、臨床、研究、研修・トレーニングなどの領域で積極的に活動を続けています。彼の出発点は、ミルウォーキーのBFTC(Brief Family Therapy Center)のSolution-Focused Brief Therapyなのですが、90年代半ばに訳あってそこを離れた後は、治療効果の共通要因の考え方基づいた様々な臨床実験に取り組んでいました。2000年を過ぎると、優れた臨床家(Super Shrinks)の研究を中心に、その知見に基づいたFIT(Feedback Informed Treatment) のアプローチへ、そして近年はA・アンダーソンのDeliberate Practiceの方法論をベースにしたセラピスト・トレーニングへと研究と臨床をシフトさせていいます。
その集大成が、去年出版されたBetter Results : Using Deliberate Practice to Improve Therapeutic Effectiveness。治療の効果を改善するための意図的(計画的)訓練とでも訳しましょうか?
このワークショップでは、彼の30年以上の臨床と研究の推移を振り返り、現在のBetter Resultsの考え方、方法論を紹介しようと思います。 新たな視点、どうぞご期待を。
【定員90名】 |